みなさんは、「損益通算」という言葉をご存知でしょうか。
一言でいうと“同一年分の利益と損失を相殺すること”です。
今回で3回目を迎える “【知って損なし!】「損益通算」って知ってる?” シリーズ。
第1回目は、損益通算の「概要」について。
第2回目は、不動産投資をする会社員の「損益通算例」について案内しました。
第3回目となる今回は不動産投資における損益通算の「注意点」についてお送りします。
不動産投資が赤字の場合、融資に影響が出る可能性も
不動産所得が赤字である場合、収益性が低いとみなされてしまい金融機関からの評価が悪くなるケースがあります。そのため、融資審査に通らなかったり、希望する金額の借り入れができなかったりする可能性が考えられます。
ただし、キャッシュフローは黒字で「帳簿上は赤字」というケースであれば特に問題とならないことも。
あくまで減価償却による赤字であり、融資に関しては現実的な返済能力から判断されることもあるからです。とはいえ、新たに物件購入を考えている方は、赤字計上に関して慎重に考えることをおすすめします。
赤字の場合は土地にかかる借入金利子が損益通算の対象外に
不動産投資では、金融機関などから借り入れをして物件を購入するケースが多いでしょう。通常、借入金にかかる利子は経費として計上することができます。しかし、不動産所得が赤字になる場合、「土地の取得に要した借入金利子」は損益通算が認められません。そのため、特に土地から取得して不動産投資を行っている場合、条件によってはそれほど節税につながらない可能性も考えられるでしょう。
ただし、不動産所得の赤字が土地にかかる借入金利子よりも小さい場合は、超過分のみ経費計上が可能です。ご自身のケースに当てはまるかなどさらに詳しく知りたい方は、管轄の税務署や税理士などに相談してください。
国外中古不動産は損益通算できなくなった
令和3年以後、国外中古不動産からの不動産所得が赤字になる場合でも、国内の不動産から生じた不動産所得や給与所得など他の所得と損益通算することができなくなりました。
国外中古不動産は物件価格に対して建物価格の割合が大きいことが多いため、その分減価償却費も多額になりやすい傾向にあります。そのため、国外中古不動産を購入して減価償却から不動産所得を赤字にして、他の所得と損益通算することにより節税していた人もいたのです。
これまで解説したように、国内の不動産に関しては他の所得との損益通算が可能です。今後損益通算による節税を意識する場合は、国内不動産の購入を検討するとよいでしょう。
所得が少なすぎると他の控除による恩恵を受けにくくなる
実際に支払う所得税の金額は、損益通算によって計算された所得金額の合計から各種控除を差し引いて確定されます。したがって、損益通算で所得が少なくなりすぎると、他の控除による恩恵を受けにくくなるデメリットがあるのです。
多額の社会保険料や医療費、寄付金などを支払っていたとしても、所得がなければ控除しきれません。住宅ローン控除に関しても、課税対象となる所得が少なすぎると控除しきれず、あまりメリットを享受できなくなってしまいます。
不動産投資による節税を考える場合は、ご自身の状況に合わせてしっかりとシミュレーションをした上で物件購入を検討すべきだといえるでしょう。
当社では、経験豊富な営業が“不動産投資”に関するあらゆるご相談を受けています。
疑問や心配事等ございましたら、いつでもお気軽にご相談ください。