国税庁は1日、相続税や贈与税の算定基準となる2016年(1月1日時点)の路線価を公表した。
全国の平均変動率は前年比0.2%プラスとなり、リーマン・ショック前の08年以来8年ぶりに上昇に転じた。金融緩和や円安を背景とした国内外の不動産投資の活発化や訪日外国人客(インバウンド)増加に支えられて14都道府県で上昇、下落した33県の大半でも下げ幅が縮小した。ただ、一部に下落幅が拡大している地域もあり、地方では地価回復への足取りは重い。熊本は4月の地震被害は反映されていない。
上昇率トップは東京の2.9%。東日本大震災後の高い住宅需要が続く宮城の上昇率は2.5%、福島は2.3%で、愛知の1.5%、大阪の1.0%を2年連続で上回った。ただ、東京電力福島第1原発周辺の地域は今年も、評価額が「ゼロ」とされた。
都道府県庁所在地の最高路線価は前年より4市多い25市で上昇し、うち札幌や神戸、広島など10市の上げ幅は10%以上だった。上昇率トップは大阪・御堂筋の百貨店「阪急うめだ本店」前の22.1%だった。地点別では、東京・銀座の文具店「鳩居堂」前が31年連続日本一。価格は1平方メートル当たり3200万円で、リーマン前を上回った。一方、都道府県別で下げ幅が最も大きかったのは秋田で3.9%。愛媛2.1%、青森、山梨、和歌山が1.9%で続いた。滋賀は前年の横ばいから0.2%マイナスに転じ、三重もマイナス1.7%から1.8%に下げ幅が拡大した。
今後も路線価の向上が見込める場所で不動産投資を初めてはいかがだろうか?