8月9日掲載の “「不動産投資ローン」と「住宅ローン」は併用できるのか(前編)” では、
①「不動産投資ローン」と「住宅ローン」は併用して組むことができるのか
②「不動産投資ローン」と「住宅ローン」の違い
③「不動産投資ローン」と「住宅ローン」を併用する時の注意点
以上について解説をしました。
後半となる今回は、「不動産投資ローン」と「住宅ローン」、どちらを先に組むかで起こるメリット・デメリットがあるのかについて考えていきます。
先に「不動産投資ローン」を組むメリット
不動産投資ローンと住宅ローンを併用する場合、一般的には先に「不動産投資ローン」を組む方がメリットが多いと言われています。
具体的にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。
➀ 融資の審査が有利になる可能性が高い
不動産投資ローンを先に組むメリットは、住宅ローンを組んでいることが足かせと
ならず、大きな融資を受けることができる可能性があることです。
不動産投資ローンよりも先に住宅ローンを借りていると、住宅ローンの残債は負債として扱われるため、不動産投資ローンで融資可能な金額から、住宅ローンを差し引いた金額しか借りることができません。
また、住宅ローンよりも不動産投資ローンの方が融資審査が厳しい傾向があるため、不動産投資を重視するのであれば、先に不動産投資ローンを組んだ方が良いでしょう。
② 家賃収入と年収を合算できる
住宅ローンの借入先によっては、不動産投資で得た収入を年収に加味できる場合があるため、住宅ローンの借入額を増やせる可能性があります。
③ 不動産投資を早く始められる
不動産投資は長期的な投資になるため、できる限り早く始めた方が良いとされています。
住宅購入後、ローンの返済が落ち着いてから不動産投資を始めようと思うと、その分、不動産投資を開始できる時期が遅くなり、資産形成のスピードが遅くなってしまいます。
④ 不動産投資ローンの返済期間に余裕がもてる
定年退職までにローンを完済させたいと考える場合、不動産投資の開始が遅くなると、返済期間が短くなり、月々の返済額が増えてしまいます。
よって、先に不動産投資を始めておくことで、返済期間に余裕を持つことができ、リスクを抑えることに繋がります。
先に「住宅ローン」を組むメリット
先述の通り、住宅ローンより不動産投資ローンを先に組んだ方が、メリットが多いことが一般的です。しかし、自身の住宅を重要視している方や、不動産投資による節税をお考えの方にとっては、住宅ローンを先に組んだ方がよい場合もあります。
それでは、住宅ローンを先に組むメリットについても知っておきましょう。
➀ 自宅に対する条件・希望を優先できる
不動産投資ローンを組んだ後に住宅ローンを組もうとすると、不動産投資ローンの
残債が影響し、自分が希望するマイホームを買えるだけの融資が受けられないケースがあります。
住宅ローンの借り入れ可能額が下がってしまうことで、住宅の価格を下げなければな
らなかったり、住宅に対する条件や希望を見直さなければならなかったりするケース
が考えられるでしょう。
もしくは、より多くの頭金を用意する必要が出てくるかもしれません。
「子どもの誕生を機に広いマイホームを買いたい」というように、ライフステージに
合わせたマイホームプランがある方は、住宅ローンを優先することも一つの方法です。
② 節税に適している
不動産投資には、様々な節税効果がありますが、その中の1つが給与所得など本業による収入との「損益通算」です。
不動産投資で得られる不動産所得は、総合課税の対象です。
もし不動産投資による収益が赤字の場合、その赤字分と本業の収入を損益通算する
ことにより、課税対象となる所得額を下げることができます。
払いすぎた所得税や住民税の還付が期待できるでしょう。
しかし、不動産投資が赤字の状態で住宅ローンを組もうとすると、本業による年収から赤字分を差し引いた額で融資審査が行われてしまいます。
住宅ローンの融資審査が不利になる可能性が高いです。
このようなケースでは、先に住宅ローンを組んでおく方がよいでしょう。
不動産所得の赤字が節税効果につながるケースがある一方で、住宅ローンとの併用にはマイナスの影響を与えてしまうことも理解しておかなければなりません。
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